何度か旅をしてきて、世界遺産エリア内のホテルに泊ったことがあったかもしれないが、世界遺産の観光に歩いて出発というのは初めて。
いざ【世界遺産:アルベロベッロ】に出発。 【ホテルを出てすぐトゥルッリの中へ】 ちょっと残念だったのは、今日も小雨の中の観光開始となったこと。 この後すぐに傘を閉じても良くなったが、荷物を一つ余分に持つことには変わりがない。 童話に出てくるようなこのトゥルッリと呼ばれる家は、当時ここを支配していた領主が、住民たちに「すぐに壊せる家を作れ」と命じ、その結果生み出された形。 国王から領主への課税は、戸数で決められており、(国の調査の時には)簡単に壊すことができたという。 【このトゥルッリはいくらぐらい?】 住民たちにも圧制をしいた伯爵家も、倒されて久しい。 当時に比べ、きっとしっかりした作りになっているのかもしれないが、白い壁の部分は1mほどの厚みがあり、暑さ寒さにも快適という。 ガイドが「この家はいくらぐらいと思いますか?」と、なんと20平方m位で2,500万円位もするとのこと。 やや住みにくいと思われる家からは、住民が周辺の近代住宅へと移転し、トゥルッリは「お金持ちの別荘?」になっているのかも。 【トゥルッリの断面図】 上の写真の丸い屋根の下の部分が一つの部屋。 この家はいくつかの部屋が、中でつながっているようだ。 壁に窪みをつけ、そこに家具を置いたり、あるいはクローゼットにもなり、とんがり屋根の下も屋根裏部屋として活用された。 【家の中のようす】 実際のおうちに(チップをお支払いして)入らせていただいた。 この写真は妻が撮ったもので、私は入っていない。 この時は、日本語の達者なガイドだったので、先頭にガイド・後方に添乗員が付き見学していた。 その後方の添乗員と2、3名だけが入る。 残念だったが、写真で見られたので。 【集落を見下ろす絶景ポイントから】 おもちゃのような家が、びっしりと並んだ童話の世界。 この前で次々に記念写真を撮る人で、添乗員とガイドはおおわらわ。 町の中心のポポロ広場あたりが低くなっているので、その向こうのモンティ地区が見えているのだと思うけど、方角はあっている? 【屋根に記された魔よけ】 時々屋根に白く文字か記号のようなものが描かれている。 魔よけだとの説明。 モンティ地区の坂道の両側に、おみやげを売る店が並ぶ。 ガイドは「ギンザ」だという。 …アクセントが違っていて、銀座だと気づいたのは数秒後。 女性が店頭に立ち、「赤ずきん」、「おおかみ」と一瞬で早や変わりする人形を見せていた。 【聖アントニオ教会】 モンティ地区に入ったところで、自由散策。 地区の高台にあり、配られた地図では一番端っこ。 私たちのほかはお店などに立ち寄り、ここまで来た人はいなかった。 「教会までトゥルッリ風の屋根をしているんだ」と。 まさかこれまで壊したり、作り直したりはしなかっただろうが。 【地区の中心にあるポポロ広場】 散策後の集合場所が、この近くのタバコ屋の近く。 左側にはカフェやリストランテ、右側の通りには野菜・果物や衣類など市が立つ。 すぐ近くに市役所・警察もあったらしいのだが。 アルベロベッロから次の【世界遺産:マテーラ】までは、1時間半。 アマルフィ・アルベロベッロに比べ知名度が低く、どんなところかも当日やっと知った世界遺産ではあるが。 【マテーラのサッシ群】 バスを降り少し進むと、目前にこんな家々が広がり「おおーっ」となる。 が、バスの中で添乗員から簡単な説明があった「貧しい人たちが長い間、苦しみに耐えた地区」とは違うような。 「水も電気もない暮らし」というのは昔のこと、遠くからでもパラボラアンテナなどが見える。 国の施策で第2次大戦後住民の移住が進み、今ここにはお金持ちが住みやすく改装して暮らしているとか。 【昔ながらの洞穴住居跡】 谷に向かって左側が上の写真の今も人が住む地区、右側(この写真)は保存地区となっている。 立入り禁止になっているようで、この後歩いたのは左側の地域。 サッシ(洞窟住居)のことをガイドがサッソと言うので、添乗員が確認すると、「イタリア語では単数形は末尾がO、複数だとIになる」と教えてくれる。 …とすれば、今朝見たものもトゥルッロ(単数)とトゥルッリ(複数)となるらしい。 【ムッソリーニの時代に作られた井戸】 大戦前にここを訪れたムッソリーニは、あまりに悲惨な住民の暮らしを目にし、何ヶ所もの井戸を作らせた。 当時のファシスト党のシンボルが残る井戸もある。 ドイツに比べ独裁者に対する評価がずいぶん違うように思う。 (ガイドの口ぶりにも) 【地区内の博物館:カーサ・グロッタ】 Casa Grottaとは「グロッタさんの家」の意味で、当時の農民の暮らしぶりが分かる。 アルベロベッロでも、Casa D'Amoreと言うのがあったが、愛の家ではなく「ダモーレさんの家」、こちらは領主の圧制から解放され、初めて漆喰で固められた(壊れない)2階建ての歴史的な家とされる。 【雨水を集める取入れ口】 カーサ・グロッタの入り口の床に溝が掘られており、そこから地下の貯水槽に雨水を貯められるようになっている。 ムッソリーニの井戸以前は、こんな工夫・苦労をしていたんだなと。 二つの世界遺産の見学を午前中で済ませ、昼食後はナポリまで255Km、約5時間。 夕食のナポリ港付近はバスが入れない地域で、レストランまでの10分少々を歩く。 最悪のタイミングで強い雨が降り出す。 旅行中、お天気にはツキがなかったけど、この時が最低。
by t_ichib
| 2013-03-14 20:49
| 今日もまた旅の空
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