今回の旅では、モロッコの8つの世界遺産のうち7つをめぐる。
1日の移動距離が想像を絶するほど長く、連日朝8時出発、次の宿に着くのは夜8時になる。 そのため、 【1】 疲れたらうとうとできる私たちと違い、バスの運転手さんは大変。 欧米では考えられない、あるいは運転手2名で交代する。 【2】 いつもの旅行だと、ホテルの外のレストランで夕食を摂ることが多いのに、(そんな時間が取れなくて?)ホテルでの夕食となる。 ただ、そのホテルの食事がおいしくなくて(ホテル代を叩いている?)、昼食の方がおいしいくらい。 その長い行程の最初はフェズの王宮。 フェズはイドリス朝時代に首都が置かれた。 この王宮には現国王がフェズを訪れた時に宿泊する。 扉はブロンズ製、表面はレモンで磨かれる。 フェズのユダヤ人街 イスラム教徒の家は外側はシンプルで窓が無く、中庭を持ち内側を美しく飾る。 一方、ユダヤ人街は外に窓やベランダを持つ。 そこに民族性の違いを感じ面白い。 もちろん、この写真では分かりにくいが、壁はスペインで見たユダヤ人街と同じく白。 【世界遺産1:フェズのメディナ(旧市街)】に入る前に、小高い丘から全貌を見下ろす。 びっしり建物で埋め尽くされ、大きな通りなど一つも見えない。 現地ガイドが、モスク・神学校・廟などを指差しながら教えてくれるが、細かすぎてよく見えない。 この後、先ほどの王宮の扉を作った銅職人のお店・陶器の工場を見学した。 興味深かったのは、陶器工場。 学校を卒業したての新米の仕事は粘土こね、足でひたすら踏み続ける。 そこで数年経験を積むと、ろくろを回し壷や花瓶、皿などの製作に回る。 さらに経験を積むと、色とりどりに焼かれたタイルから、四角や三角、丸など様々な形を切り欠く。 中には息を吹きかけると飛んでしまいそうな小さな物も。 そして様々な色と形、大きさの素材を組み合わせ、芸術品に作り上げるのが超ベテランの仕事。 旧市街への入り口、ブー・ジュルード門はそうした芸術作品の一つ。 門の裏側も同じデザインだが、タイルの色が違う。 表の青はフェズの町の色、裏の緑はイスラムの象徴といわれる。 旧市街に一歩足を踏み入れると、まさに迷路のような細い道が続く。 小路の両側には様々な店が軒を並べる。 たとえば肉屋、たとえば木の実などを煮詰めた惣菜屋。 肉屋の店頭にラクダの首がディスプレーされていたり、写真の惣菜屋も通りのホコリをかぶっていそうだったりで、私たちの食欲は湧かない。 せめてガラスケースに入れておいて欲しい。 …しかしそれは、私たちの文明かぶれ? 一方、きれいな衣装やスカーフなどお店には、思わず目を奪われる。 食い入るように見つめるのは、結婚間近な娘さんと母親か? この衣装を見た妻は「中国の服みたい」と言う。 私にはアラビアンナイトの世界。 ペルシャのお姫様か、「月の砂漠」を行く王女様。 通りに面して、先ほど丘から見たモスク・神学校などがあるが、信者以外は立ち入りできない。 私たちは外から覗き込み、写真を撮るだけ。 昼食を摂った後は、恐怖の皮なめし工場。 何が恐怖かと言うと、その強烈な異臭。 建物の屋上から工場を見下ろす。 工場と言ってもコンクリート?で区切られた槽があるだけ。 白い槽は皮から余分な脂肪や肉を溶かし落とす。 ハトの糞を使っているのだとか。 強烈な匂いの元は、ハトの糞? それとも溶けた脂肪などの腐臭? 赤い槽は染めのためだった? 観光客には香りの良いハーブの葉が配られる。 私たちはそれを鼻に当て、異臭に耐える。 匂いは不評だが、お店に並ぶ皮のスリッパ(=マブーシュ)は好評。 日本からお土産リストに書き込んできた人が多い。 強烈な思い出を後にフェズを離れ、【世界遺産2:ヴォルビリス遺跡】に向かう。 ヴォルビリスはモロッコに唯一残るローマの遺跡。 遺跡そのものの価値より、モロッコに残されていることに価値があるのかと思うのだが。 私たちにとって興味深かったのは、神殿の高い柱に何家族かのコウノトリが巣を作っていたこと。 日本のコウノトリとは種類が違うのか、雛鳥のクチバシが黒いのに対し、親鳥のクチバシはピンクと説明された。 確かに、ピンクが黒に餌を運んでいた。 (クチバシの黒いひよっ子?) ヴォルビリスを後に、【世界遺産3:メクネス】へ。 北アフリカでもっとも美しく有名な門、マンスール門。 ただ残念ながら、強行軍の時間的制約からこの門の撮影だけ。 ガイドブックには「水の館」「風の道」など興味深い施設がいくつも紹介されていたのに。 マンスール門にばかり気を取られていて、ふと後ろを向くとそこはエディム広場。 モロッコのこうした広場がにぎわうのは、夕方から。 この時間はまだまだスペースが目立つ。 いろんな物を売る人の姿はほとんど無いが、いくつかの人だかりの中には大道芸の人。 熱気はまだまだだけど。 2泊目の宿は首都ラバト。 昨日のようなトラブルも無く、疲れのせいで熟睡できた。
by t_ichib
| 2010-06-13 18:19
| 今日もまた旅の空
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